大胆に株
一方で、温かい商品をそのまま販売するものと言えばおでんや肉まん、フランクフルトなどのレジ回りの商品程度だった。
消費者の変化について行くことにたけているSといえども、冬場でも飲料は冷たいものでいいとか、飲料の売り上げが夏と冬では大きな差があるのは仕方がないと思い込んでいた面があった。
Sの商品部や建設本部は2000年ころから消費者の声に動かされるかたちで「冬場は冷たい飲料よりも温かい飲料を求める消費者が確実にいる」という考えを抱くようになっていった。
これまで「S」では、レジカウンターに温かい缶飲料を販売するために「缶ウォーマー」がちょこんと置いてある程度だった。
そこで、冬場は加熱して、それ以外の季節は冷やすことのできる冷・温併用型のケース開発に乗り出した。
2002年5月に冷蔵と加温の両方ができる「HOTorCOLDケース」の店舗設置が始まり、冬場に温かい飲料を提供することが可能になった。
飲料は冷やすだけという考えから、温かい飲料を扱うことで冬場の需要を開拓できたのである。
さらに、2006年後半をメドに同じ飲料の陳列ケースでも棚によって温かい飲料と冷たい飲料を並べることができる新型の開発を進めている。
陳列ケースの上の3段をホットに、下の3段はコールドにといった具合にできる。
その日の天候、気温によって、冷・温の棚のスペースを変幻自在にして、客のニーズに対応する。
95年ごろ、当時はデフレ経済のまっただ中で、Sの平均日販は頭打ちになっていた。
商品、物流、情報システムなど日々革新を続けていたが、商品を魅力的に見せる役割を担うゴンドラと呼ばれる陳列棚だけは、改革と無縁の存在だった。
意外なことに、創業以来Sはスーパーで使用している陳列棚と同じもので間に合わせていた。
ゴンドラはエアポケットのように手つかずの状態だったのだ。
「より多く商品を売るためにはゴンドラの改革も必要ではないか」OFC(オペレーション・フィールド・カウンセラー、店舗経営指導員)は加盟店主(オーナー)や店舗従業員からこんな指摘を受けていた。
一方、Sの商品本部では「商品の小容量化が進む中でスーパー型のゴンドラは見栄えがよくない」とか、「いろいろなパッケージ(包装)の商品が生まれても、客にはその商品が魅力的に見えないのでは」などの声が出てきた。
まずはゴンドラの現状分析にとりかかった。
「S」が使っていたゴンドラの高さは150センチだった。
通路幅が狭いコンビニの売り場では圧迫感があり、棚の下方や奥の商品は見にくく、取り出しにくかった。
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